東上線のどの駅を選ぶか
下板橋・大山・中板橋・ときわ台・上板橋・東武練馬・下赤塚・成増の8駅があり、いちばん遠い成増でも急行なら池袋まで12分。都心への通勤を考えるファミリー層にとって、現実的な価格で3LDKが探せる沿線です。
ただ、8駅のどこを選ぶかとなると、判断材料が足りません。ポータルサイトで比べられるのは「いま売りに出ている物件」だけで、駅ごとにどんな建物が多いのか、実際にいくらで成約しているのかは見えないからです。
結エステートでは、レインズに登録された成約データを駅ごとに集計しています。2024年9月から2026年9月までの2年間、専有面積50平方メートル以上のファミリー向け住戸に絞った、実際に取引が成立した価格です。
1. 池袋に近いほど高い、わけではありません
集計して最初に分かったのは、距離と価格が一致しないことでした。
池袋から近い順に並べると、大山・中板橋・ときわ台・上板橋・東武練馬・下赤塚・成増。ところが1平方メートルあたりの成約単価で並べ替えると、順番が変わります。2駅目の中板橋が下から2番目に、いちばん遠い成増が4番目に来ます。
2. 同じ駅のなかでも、倍以上の開きがあります
駅ごとの平均を見るだけでは足りません。同じ上板橋駅を最寄りとする物件でも、町丁によって1平方メートルあたり24万円台から53万円台まで開きがありました。駅名だけで相場を判断すると、見込みを大きく外します。
3. 築年数が価格を決めています
もうひとつ、駅ごとの価格差の大部分は、その駅にどんな年代の建物が残っているかで説明がつきます。築40年以上の物件が成約の半分を占める駅もあれば、1割しかない駅もある。平均値の差は、建物の年代の差でした。
この記事では、7駅の相場を同じ条件で並べたうえで、この3つを順番にご説明します。駅ごとの詳しい情報は、それぞれの駅のガイド記事にまとめていますので、あわせてご覧ください。
東武東上線8駅の基本データ
まず、8駅の位置関係を整理します。東上線には普通・準急・急行があり、板橋区内で準急が停まるのは上板橋と成増、急行が停まるのは成増だけです。池袋を出た急行は、7駅すべてを通過して成増が最初の停車駅になります。
| 駅 | 池袋から | 速達 | 他に使える路線 |
|---|---|---|---|
| 下板橋 | 約3分 | — | JR埼京線・都営三田線(徒歩圏) |
| 大山 | 約5分 | — | 都営三田線(徒歩圏) |
| 中板橋 | 約8分 | — | — |
| ときわ台 | 約10分 | — | — |
| 上板橋 | 約12分 | 準急で7分 | — |
| 東武練馬 | 約16分 | — | — |
| 下赤塚 | 約18分 | — | 有楽町線・副都心線(地下鉄赤塚) |
| 成増 | 約20分 | 急行で12分 | 有楽町線・副都心線(地下鉄成増) |
所要時間は普通列車の目安です。東武練馬から先は、途中で後続の急行や準急に追い抜かれる列車があるため、実際には前後します。下赤塚と成増は、隣接する地下鉄駅を合わせて1つのエリアとして扱っています。
7駅の中古マンション相場を同じ条件で比べる
ここからが本題です。レインズに登録された成約データを、7駅すべて同じ条件で集計しました。駅ごとに期間や絞り込みが違うと比較になりませんので、条件を完全に揃えています。
集計条件:東日本レインズの成約データ/2024年9月〜2026年9月の2年間/専有面積50平方メートル以上/表示上の最寄駅が対象駅のもの/バス便を除く/単純平均。1平方メートルあたりの単価は、平均成約価格を平均専有面積で割って算出しています。なお、各駅のガイド記事に掲載している相場データは、記事ごとに集計時期や条件が異なる場合があります。駅どうしを比較する際は、条件を揃えたこのページの数値をご覧ください。
| 駅 | 築20年未満 | 築20〜40年 | 築40年以上 | 全体 |
|---|---|---|---|---|
| 大山 | 123.0 | 90.9 | 64.9 | 103.4 |
| 中板橋 | — | 65.9 | 47.2 | 57.8 |
| ときわ台 | 102.0 | 74.7 | 56.3 | 84.2 |
| 上板橋 | 101.3 | 63.5 | 43.0 | 57.4 |
| 東武練馬 | 87.7 | 71.3 | 42.8 | 73.2 |
| 下赤塚 | 77.0 | 69.1 | 54.7 | 65.4 |
| 成増 | 89.9 | 62.2 | 50.8 | 69.7 |
単位は1平方メートルあたりの万円。中板橋の築20年未満は、2年間で成約が1件しかなかったため記載していません。下板橋は、JR板橋駅・都営新板橋駅・板橋区役所前駅と徒歩圏が重なり、周辺物件の多くがそれらの駅を最寄りとして登録されています。駅単位の成約が13件と少なく、同じ条件での比較になじまないため、この表から外しました。
この表の読み方
いちばん右の「全体」の列だけを見ると、大山が103.4万円で突出し、上板橋57.4万円と中板橋57.8万円が最も低く見えます。その差は1.8倍です。
ところが築年帯で揃えて比べると、差は大きく縮まります。たとえば上板橋と東武練馬の全体平均は15.8万円離れていますが、築40年以上で比べると43.0万円と42.8万円で、ほとんど同じです。築20年未満にいたっては、上板橋101.3万円が東武練馬87.7万円を上回ります。
全体平均の差は、物件そのものの価格差ではなく、その駅にどんな年代の建物が残っているかの差です。次の章で、その中身をご説明します。
成約した物件の築年構成
同じ2年間の成約を、築年帯の構成比で見るとこうなります。カッコ内は件数です。
| 駅 | 築20年未満 | 築20〜40年 | 築40年以上 | 成約数 |
|---|---|---|---|---|
| 大山 | 48%(55) | 37%(42) | 15%(17) | 114 |
| 中板橋 | 4%(1) | 48%(12) | 48%(12) | 25 |
| ときわ台 | 42%(37) | 42%(37) | 17%(15) | 89 |
| 上板橋 | 10%(9) | 41%(38) | 49%(45) | 92 |
| 東武練馬 | 28%(30) | 62%(67) | 10%(11) | 108 |
| 下赤塚 | 27%(12) | 36%(16) | 38%(17) | 45 |
| 成増 | 35%(76) | 44%(97) | 21%(46) | 219 |
上板橋は築40年以上が49パーセント、東武練馬は10パーセント。隣どうしの駅で5倍近い差があります。中板橋は築20年未満がわずか1件でした。
駅ごとの価格差は「どんな建物が残っているか」の差
1. 築40年以上の比率が、駅によって5倍違います
前の章の構成比の表をご覧ください。上板橋は、ファミリー向けの成約92件のうち45件、およそ半分が築40年以上でした。一方、東武練馬は108件のうち11件で、1割しかありません。同じ東上線の隣どうしの駅で、これだけ違います。
上板橋には1970年代から1980年代前半に建てられたマンションが数多く残っています。その価格帯が成約の半分を占めるため、全体平均が引き下がる。物件が安いのではなく、安い年代の物件が多いということです。
2. 成増は築浅の供給が続いています
逆の例が成増です。ファミリー向け成約219件のうち、築20年未満が76件。7駅のなかで最も多く、上板橋の8倍以上あります。
成増は、板橋区内で唯一の急行停車駅です。池袋を出た急行は7駅すべてを通過し、成増が最初の停車駅になります。さらに、徒歩1〜2分の地下鉄成増駅から有楽町線と副都心線が使えます。行き先が分かれるのがこの2路線の特徴です。
副都心線は、新宿三丁目・渋谷方面へ直通します。東急東横線に乗り入れているため、横浜方面まで乗り換えなしで出られます。有楽町線は、飯田橋・有楽町を経由して銀座一丁目方面へ。勤務先が新宿・渋谷側なのか、丸の内・銀座側なのかで、使う路線が変わります。
池袋で乗り換える必要がないという点が、通勤時間以上に効きます。朝の池袋駅での乗り換えを避けられるかどうかは、毎日のことですから。
こうした利便性を背景に、成増では今も新しいマンションの供給が続いています。その結果、市場に出てくる物件の年代が若く、全体平均が押し上げられています。
3. 中板橋はファミリー向けの築浅がありません
中板橋の築20年未満を空欄にしたのは、データが取れなかったからではありません。2年間で成約が1件しかなかったからです。
中板橋では、ファミリー向け50平方メートル以上の成約が25件に対し、50平方メートル未満が45件。新しく供給された住戸が単身向け・投資向けに寄っていて、ファミリー向けは築年の経った建物が中心になっています。3LDKを探すなら築年数を許容する前提で考える駅、ということです。
4. 遠い駅ほど築古が安い、わけではありません
もうひとつ、築40年以上の列を池袋から近い順に見てください。
大山64.9万円、中板橋47.2万円、ときわ台56.3万円、上板橋43.0万円、東武練馬42.8万円、下赤塚54.7万円、成増50.8万円。
いちばん遠い成増50.8万円と下赤塚54.7万円が、より近い上板橋43.0万円・東武練馬42.8万円を8万円から12万円上回っています。
築浅の価格はどの駅でもそれなりに高くなりますが、築年が経つほど、立地そのものの力が価格に残ります。成増・下赤塚で築古が高く保たれているのは、3路線使える利便性が、建物の古さとは別に評価されているということです。
その物件、仲介手数料が変わるかもしれません
いま検討中・気になっている物件はありませんか。他社で見つけた物件でも、結エステートを通すことで仲介手数料が無料または半額になる場合があります(物件により異なります)。物件名やURLをお送りいただければ、対象になるか無料でご確認します。
💬 LINEで手数料を確認する同じ駅でも、町丁によって倍以上変わります
同じ駅を最寄りとする物件でも、どの町丁にあるかで価格がまったく違います。上板橋駅を例に、中身を開いてみます。
上板橋駅の築40年以上45件を、町丁で分けると
全体の平均は1平方メートルあたり43.0万円でした。これを所在地の町丁別に集計すると、次のようになります。
上板橋2丁目は14件で53.3万円。駅のすぐ近く、南口側のエリアです。上板橋3丁目は4件で49.7万円。中台1丁目は2件で65.4万円。ここまでは、築40年以上としては高い水準です。
一方、前野町6丁目は12件で36.0万円。若木3丁目は6件で24.5万円でした。
上板橋2丁目53.3万円と、若木3丁目24.5万円。同じ上板橋駅の築古物件で、2倍以上の開きがあります。
若木3丁目の6件は、成約価格が980万円から1,750万円。築54年から56年の物件が中心です。前野町6丁目の12件は、築43年から45年の86平方メートル台が7件、築55年から56年の55平方メートル台が5件。それぞれ特定の建物に集中していました。
この差が意味すること
上板橋駅の全体平均57.4万円という数字は、駅前の上板橋2丁目と、駅から離れた若木3丁目を、同じ袋に入れた結果です。
上板橋は準急停車駅で、南口では再開発が進んでいます。その駅前の築40年以上が53.3万円というのは、ときわ台の築40年以上56.3万円と、ほとんど変わらない水準です。駅の平均値だけを見て「上板橋は安い」と判断すると、実態を見誤ります。
ときわ台にも同じことが起きています
ときわ台の築20年未満は1平方メートルあたり102.0万円でしたが、この帯の成約37件のうち27件、7割以上が前野町2丁目の物件でした。さらにその中身を見ると、2009年築と2014年築の2棟にほぼ集中しています。
つまり、ときわ台の築浅相場とは、実質的にこの2棟の相場です。常盤台や南常盤台で築浅を探しても、2年間でほとんど市場に出ていません。
駅名だけで相場は判断できません
ポータルサイトで表示される「◯◯駅の相場」は、その駅を最寄りとして登録されたすべての物件の平均です。駅前の物件も、バスを使うエリアの物件も、同じ平均に入っています。
ご検討中の物件が、その駅のなかでどの位置にあるのか。これは町丁まで降りて、同じ条件の成約事例と比べないと分かりません。結エステートでは、ご相談いただいた物件について、この粒度でお調べしてお伝えしています。
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1. 予算を抑えて3LDKを確保したい
上板橋・中板橋が候補になります。
上板橋は築40年以上の成約が全体の半分を占め、1平方メートルあたり43.0万円。60平方メートルで2,600万円前後が目安です。ただし前章のとおり、駅前の上板橋2丁目は53.3万円と水準が上がります。価格を優先するなら駅からの距離を、立地を優先するなら予算を、どちらかを動かす必要があります。
中板橋も築40年以上が47.2万円と近い水準です。ただしファミリー向けの築浅がほぼ市場に出ないため、「予算が合えば築浅も」という探し方はできません。築年数を許容する前提で始める駅です。
どちらも旧耐震基準の物件が中心になります。住宅ローンでフラット35が使えない場合があり、管理組合の運営状況や修繕積立金の水準の確認が、他のエリア以上に重要になります。
2. 通勤先が新宿・渋谷・銀座方面
成増・下赤塚が有利です。
東武東上線に加えて、徒歩圏の地下鉄成増駅・地下鉄赤塚駅から有楽町線と副都心線が使えます。副都心線で新宿三丁目・渋谷、さらに東急東横線直通で横浜方面へ。有楽町線で飯田橋・有楽町・銀座一丁目方面へ。朝の池袋での乗り換えを避けられます。
成増は築20年未満の成約が76件と7駅で最多で、築浅から築古まで選択肢が揃っているのも利点です。下赤塚は成約数そのものが45件と少なく、タイミングによっては候補が限られる点にご留意ください。
3. 子育て環境と住宅地としての落ち着き
ときわ台が筆頭です。
築40年以上でも1平方メートルあたり56.3万円と、上板橋・東武練馬を13万円前後上回ります。築年が経っても価格が落ちにくいのは、住宅地としての評価が建物の古さとは別に働いているということです。
常盤台エリアは板橋区のなかでも学区への関心が高い地域です。ただし通学区域は番地で分かれることがあり、同じ町丁でも建物の場所によって指定校が変わります。ご検討の際は、必ず番地単位でご確認ください。
4. 将来の売りやすさを重視する
大山が突出しています。
築20年未満123.0万円、築20〜40年90.9万円、築40年以上64.9万円。全帯で7駅の首位で、築40年以上の64.9万円は、他の駅の築20〜40年の水準に並びます。
池袋まで5分という立地に加え、駅周辺では再開発が進行中です。ただし価格水準そのものが高く、同じ予算で確保できる広さは他の駅より小さくなります。平均専有面積64.6平方メートルという数字が、それを表しています。
5. 広さを最優先したい
東武練馬です。
ファミリー向け成約の平均専有面積が70.3平方メートルと、7駅のなかで最も広い。築20〜40年が成約の62パーセントを占め、新耐震基準で大規模修繕を経た物件が市場の中心です。築古が少ないぶん、極端に安い物件は出にくい駅でもあります。
東上線8駅のエリアガイド
各駅の詳しい情報は、駅ごとのガイド記事にまとめています。交通アクセス・買い物・学区・相場・物件一覧まで、その駅で暮らすことを具体的にイメージできる内容にしています。
下板橋の中古マンション完全ガイド →
JR板橋駅・都営新板橋駅も徒歩圏にあり、3路線が使えるエリアです。
大山の中古マンション完全ガイド →
池袋まで5分。7駅で最も価格水準が高く、駅周辺では再開発が進行中です。
中板橋の中古マンション完全ガイド →
石神井川沿いの住宅地。ファミリー向けは築年の経った建物が中心です。
ときわ台の中古マンション完全ガイド →
準急停車。住宅地としての評価が高く、築古でも価格が落ちにくいエリアです。
上板橋の中古マンション完全ガイド →
準急停車で南口は再開発中。町丁による価格差が7駅で最も大きい駅です。
東武練馬の中古マンション完全ガイド →
平均専有面積70.3平方メートルと7駅で最も広い。築20〜40年が市場の中心です。
下赤塚の中古マンション完全ガイド →
地下鉄赤塚から有楽町線・副都心線。築40年以上でも価格が保たれています。
成増の中古マンション完全ガイド →
地下鉄成増まで徒歩1〜2分。築浅の供給が続き、選択肢が最も豊富です。
下板橋は、JR板橋駅・都営新板橋駅・板橋区役所前駅と徒歩圏が重なるため、この記事の相場比較からは外しています。エリアの相場はガイド記事をご覧ください。
まとめ|駅名だけで判断しないために
最後に、この記事でお伝えしたかったことを3つにまとめます。
池袋からの距離と、価格は一致しません。
2駅目の中板橋が下から2番目で、いちばん遠い成増が4番目。所要時間だけで候補を絞ると、条件の合う駅を見落とします。
駅ごとの価格差の多くは、建物の年代の差です。
上板橋は成約の半分が築40年以上、東武練馬は1割。この構成比の違いが、全体平均の差として現れています。築年帯を揃えて比べると、駅の差は大きく縮まります。
同じ駅のなかでも、町丁で2倍以上変わります。
上板橋駅の築40年以上は、駅前の上板橋2丁目で53.3万円、若木3丁目で24.5万円でした。駅の平均値は、この両方を含んだ数字です。
ここに挙げた数字は、あくまで市場全体の傾向です。実際の価格は、築年・専有面積・階数・向き・管理状態・耐震基準・フラット35の利用可否などによって大きく変わります。
ご検討中の物件がその駅のなかでどの位置にあるのか、同じ条件の成約事例と比べてどうなのか。結エステートでは、板橋区での17年の経験と、自社で集計している成約データをもとに、現実的な目線でお伝えしています。
「この物件、相場より高くないか」というご相談だけでも構いません。各駅の詳しい情報は、下のガイド記事にまとめています。
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