2026年9月15日、国土交通省が「令和8年都道府県地価調査」を公表しました。いわゆる基準地価です。東京都分は9月16日付で公表され、東京23区(区部)の住宅地は前年比+8.7%。前年の+8.3%から、さらに上昇幅が広がりました。
「また地価が上がったのか」「もう買えないのでは」と感じた方もいるかもしれません。ただ、同じ調査を半年単位で分解すると、じつは直近の半年は伸びが鈍っているという、見出しには出てこない動きも見えてきます。
この記事では、板橋区・練馬区で中古マンションの購入を検討されている方に向けて、2026年の基準地価をどう読めばいいのか、そして購入の判断にどう関係するのかを整理します。
2026年の基準地価、東京23区の住宅地は前年比+8.7%
基準地価は、各都道府県が毎年7月1日時点の土地の価格を調査して公表する指標です。1月1日時点で国が公表する「公示地価」と対になるもので、年2回、半年ずれたタイミングで地価の動きを確認できる仕組みになっています。
2026年(令和8年)の結果は次のとおりです。
- 全国の全用途平均は5年連続で上昇
- 東京都全域の住宅地は+5.8%(前年+5.6%)で、14年連続のプラス
- 東京23区(区部)の住宅地は+8.7%(前年+8.3%)
- 区部は全23区がプラス、調査した350地点すべてで価格が上昇
区部の内訳を見ると、都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)が+13.2%、それ以外の18区が+8.1%。区別でもっとも高かったのは港区の+16.3%で、台東区+15.6%、文京区+13.8%と続きます。
つまり「都心が突出して上がり、その外側も後を追って上がっている」という構図が、2026年も続いた形です。
板橋区・練馬区が含まれる「その他区」は+8.1%
板橋区・練馬区は、東京都の区分でいうと都心5区ではなく「その他区」18区に含まれます。このグループの住宅地の平均変動率は+8.1%で、前年の+7.7%から上昇幅が拡大しました。
ただし、この2区の数字はかなり違います。
- 板橋区:住宅地 +8.6%/商業地 +13.5%/全用途 +10.6%
- 練馬区:住宅地 +5.9%/商業地 +9.0%/全用途 +6.6%
板橋区の住宅地は、区部全体の平均(+8.7%)とほぼ同じ水準です。一方の練馬区は+5.9%で、23区のなかでは足立区(+5.4%)、葛飾区(+5.8%)に次いで低いグループに入ります。同じ「城北・城西の住宅地」とひとくくりにされがちな2区ですが、土地の評価という点では差がついています。
とくに目を引くのが、板橋区の商業地+13.5%です。区部全体の商業地平均(+13.3%)を上回りました。板橋駅西口や大山駅周辺をはじめ、駅前の再開発が動いているエリアの評価が、押し上げに効いている可能性があります。
ここで押さえておきたいのは、地価の上昇と中古マンション価格の上昇は、同じスピードでは動かないということです。地価は土地そのものの評価で、マンションの価格は建物の築年数・管理状態・間取り・階数・眺望など、土地以外の要素にも大きく左右されます。
地価の上昇は「そのエリアの需要が落ちていない」ことの裏づけにはなりますが、個別の物件がいくらで売れるかは、あくまで近隣の成約事例を見ないと分かりません。ここは分けて考えるのが安全です。
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💬 LINEで手数料を確認する見出しには出てこない「後半期の減速」
ここからが、今回の基準地価でいちばん実務的に意味のある部分です。
基準地価と公示地価には、同じ地点を両方で調査している「共通地点」があります。この共通地点を使うと、1年間の動きを前半・後半の半年ずつに分けて見ることができます。東京都が公表した2026年の数字は次のとおりです。
- 区部の住宅地:前半期(2025年7月〜2026年1月)+4.7% → 後半期(2026年1月〜7月)+4.2%
- 前年(2025年)は前半+4.4%・後半+4.3%と、ほぼ横ばいで推移していた
- 比較可能な216地点のうち、128地点で後半期の変動率が前半期を下回った
年間で見れば+9.1%と力強い数字ですが、時系列で見ると直近の半年でペースが落ちている。この温度差が、いまの市場の実感に近いと感じています。
「年間で+8.7%」というニュースの見出しだけを見て、売る側が強気の価格を出す、買う側が焦る——どちらも、この後半期の数字を見ていないと起きやすい判断です。
レインズの在庫増・成約減とも整合する
地価の減速は、中古マンション市場の動きとも足並みが揃っています。東日本不動産流通機構(レインズ)が公表している首都圏の中古マンションの数字を見てみます。
- 2026年7月の平均成約価格は5,267万円、成約㎡単価は84.17万円。いずれも前年同月をわずかに下回った
- 成約件数は4か月連続で減少
- 在庫件数は5か月連続で増加
一方で、東京都に限って1年間(2025年7月〜2026年6月)でならすと、中古マンションの成約件数は25,601件で前年同期比+11.6%、新規登録件数は104,885件で+3.3%。年間では成約の伸びが登録の伸びを上回っています。
この2つは矛盾しているように見えますが、要するに「1年通してはよく動いたが、直近は売り物が増えて動きが鈍ってきた」ということです。
買う側から見ると、在庫が増えているということは選べる物件が増えているということでもあります。半年前より、じっくり比較できる環境にはなってきています。
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今回の基準地価の資料には、東京都の住宅市場に関する背景データも載っています。中古を検討している方にとって、こちらも見逃せない数字です。
- 2025年度の東京都の新設住宅着工戸数は111,793戸で、前年度比-13.7%
- そのうち分譲マンションは-39.2%、都心3区(千代田・中央・港)にいたっては-56.8%
- 2026年1〜6月の区部の新築マンション供給戸数は2,684戸で前年同期比-9.4%、戸当たり平均価格は1億4,249万円(+9.1%)
新築は供給が絞られ、価格は上がり続けています。区部の新築マンションの平均が1億4,000万円台という水準は、共働きのご家庭でも簡単に手が届く金額ではありません。
その一方で、中古は在庫が増えています。同じ予算で、同じ沿線・同じ駅距離を狙うなら、中古のほうが選択肢が広い——板橋・練馬エリアでご相談をいただくなかでも、この傾向ははっきり出ています。
新築価格の高騰と中古の割安感については、首都圏の新築マンション平均1億円突破についての記事でも詳しく解説しています。
9月の利上げと合わせてどう読むか
2026年9月18日、日本銀行は政策金利を1.25%へ引き上げることを決めました。1995年以来、約31年ぶりの水準です。
住宅ローンへの影響は、順番に効いてきます。
- 多くの銀行は2026年10月から変動金利の基準金利を引き上げる見通し
- すでに借りている方の返済額に反映されるのは2027年1月から(5年ルールがある場合)
- 2026年9月時点の変動金利の水準は、地銀1.23%・メガバンク1.25%・ネット銀行1.29%
- 固定は10年固定(メガバンク)が3.84%、フラット35が3.46%。変動と固定の差は過去最大級に開いている
「金利が上がるなら固定に切り替えたほうがいいのでは」というご相談も増えていますが、変動と固定の差が2%以上ある局面では、その保険料はかなり高くつきます。金利タイプを変えるより、借入額そのものを抑える、繰上返済の原資を手元に残しておくほうが、現実的な備えになるケースが多いです。
地価が上がっている一方で、買う側の資金調達コストも上がっている。この両方を踏まえて予算を組み直すのが、いまのタイミングでは欠かせません。
9月の利上げの詳細は日銀の政策金利1.25%への利上げ決定についての記事で、利上げが前倒しになった背景は利上げ前倒しについての記事で解説しています。
板橋・練馬で中古マンションを買うなら、いま何を見るか
最後に、板橋区・練馬区で物件をお探しの方に向けて、いまの市況を踏まえた見方を3つ挙げます。
1. 「年間の上昇率」ではなく「直近の成約事例」を見る
基準地価の年間+8.7%は、あくまで1年間をならした数字です。実際に価格交渉の材料になるのは、その物件と条件の近い直近3〜6か月の成約事例です。売出価格が近隣の成約水準から乖離している物件は、時間をかければ下がる可能性もあります。
2. 在庫が増えている今は、比較に時間をかけられる
成約が減り在庫が増えている局面では、1件目で決め切らずに複数を比較する余裕が生まれます。焦って決めると、管理状態や修繕積立金の水準といった、あとから効いてくる部分を見落としがちです。
3. 再開発エリアは中長期の材料として見る
板橋区では板橋駅西口、大山駅、上板橋駅南口、高島平団地の再生といった再開発が進んでいます。こうした動きは、街の利便性や住環境の向上を通じて、周辺の不動産の評価に中長期的にプラスに働く可能性があります。
ただし、再開発があるから必ず値上がりする、というものではありません。金利や景気、供給量など複数の要因で相場は動きますし、将来の価格を保証できるものではない点はご理解ください。あくまで「その街に住み続けたいと思えるかどうか」を軸に、資産性は補助的な判断材料として見ていただくのが健全だと考えています。
板橋区で進む再開発の全体像は板橋区の再開発まとめ、区内の中古マンション相場は板橋区の中古マンション相場2026年版、もう一つの公的な土地価格の指標については2026年の路線価についての記事でご覧いただけます。
結エステートは板橋区・練馬区の中古マンション売買仲介を17年続けてきました。個別の物件について「この価格は妥当か」「あと何年住むならどちらが得か」といったご相談は、遠慮なくお寄せください。
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