2026年に入ってから、中古マンションの市場で起きていることが、はっきり数字に表れるようになりました。
東日本不動産流通機構(レインズ)が10月13日に公表した9月の集計では、首都圏の中古マンション成約件数が前年同月比22.7%減。在庫は7か月連続で増え、5万件を超えました。
これは一つの統計の話ではありません。売り希望価格を集計している東京カンテイ、土地の公的価格である基準地価。性質の異なる3つのデータが、いま同じ方向を向いています。
この記事では、板橋区・練馬区で中古マンションを検討されている方に向けて、いま市場で何が起きているのか、そしてそれが購入や売却の判断にどう関わるのかを整理します。
レインズ9月度が示した数字
まず、実際に取引が成立した価格を集計しているレインズの9月のデータから見ていきます。
- 成約件数:3,457件(前年同月比22.7%減)。6か月連続の減少で、減少幅も拡大
- 成約坪単価:267.5万円(同4.8%減)。5か月連続の下落。㎡換算では約81万円
- 成約価格:5,111万円(同4.5%減)。5か月連続の下落
- 在庫件数:50,450件(同15.1%増)。7か月連続の増加
注目したいのは、成約件数の減少幅が2割を超えたことです。前年同月比で見て、4月はマイナス1.2%、7月はマイナス8.6%、8月はマイナス10.5%、そして9月はマイナス22.7%。月を追うごとに落ち込みが大きくなっています。
価格のほうも、8月には東京23区の成約㎡単価が132.69万円(前年同月比マイナス0.3%)となり、2020年4月以来76か月ぶりに前年を下回りました。首都圏全体の成約㎡単価は81.60万円で、バブル期である1990年10月の水準(83.50万円)も下回っています。
売り希望価格も下を向いた
レインズが「実際に売れた価格」なのに対して、東京カンテイが毎月公表している70㎡換算価格は「売主が希望している価格」の集計です。本来、売り希望価格は実際の相場より遅れて動きます。その売り希望価格にも変化が出ています。
- 東京23区:12,677万円(前月比マイナス0.4%)。3か月連続の下落
- 東京都全体:11,274万円(同マイナス0.2%)。28か月ぶりのマイナス
- 首都圏平均:7,606万円(同プラス0.8%)。こちらは25か月連続の上昇
※いずれも2026年8月の数値(2026年9月24日公表)
東京カンテイは、都心部が調整局面に入る一方で、比較的割安なエリアでは実需を背景に堅調な動きが続いているとみています。首都圏全体ではまだ上昇、東京都と23区は下落という形で、エリアによって動きが分かれ始めているのが8月の姿でした。
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3つめが、2026年9月に公表された基準地価です。7月1日時点の土地の価格を調べたもので、こちらは上昇しています。
- 東京23区の住宅地:前年比+8.7%(前年+8.3%)。全23区がプラス
- 板橋区の住宅地:+8.6%/練馬区の住宅地:+5.9%
数字だけ見れば力強い上昇です。ただし、同じ調査を半年ずつに分けると見え方が変わります。区部の住宅地は、前半期(2025年7月〜2026年1月)が+4.7%だったのに対し、後半期(2026年1月〜7月)は+4.2%。比較できる216地点のうち128地点で、後半期の変動率が前半期を下回りました。
板橋区・練馬区の基準地価と、前半期・後半期の数字の読み方については、2026年の基準地価と板橋・練馬の中古マンションについての記事で詳しく解説しています。
年間では過去最高ペースの上昇でも、直近半年はブレーキがかかっている。これが、成約件数の減少や在庫の増加と時期的に重なります。
3つのデータが同じ方向を向いた、その意味
ここまでの3つを並べてみます。
- 成約(レインズ):件数が6か月連続で減少、価格・単価が5か月連続で下落、在庫が7か月連続で増加
- 売り希望価格(東京カンテイ):東京23区が3か月連続で下落、東京都は28か月ぶりのマイナス
- 地価(基準地価):年間では上昇だが、直近半年は上昇ペースが鈍化
集計方法も発表元も違う3つが同じ方向を示しているので、一時的なブレではなく、市場の局面が変わった可能性が高いと見るのが自然です。実務の現場でも、売出価格のまま決まる物件が減り、価格を見直してから動き出すケースが増えています。
ただし、ここから先を断定することはできません。これらは過去のデータであって、今後も同じ方向に動き続けるという保証はありません。金利、景気、新築の供給量、政策など、相場を動かす要因は複数あり、どれか一つで決まるものでもありません。
お伝えできるのは、「半年前とは買い手・売り手を取り巻く環境が変わった」という事実までです。そのうえで、ご自身の状況に合わせてどう動くかを考えていただくのが現実的だと考えています。
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「東京の中古マンションが」とひとくくりにされがちですが、エリアによって状況はかなり違います。9月の東京都のデータを見ると、その差がはっきりします。
都心3区(千代田・中央・港)
- 成約㎡単価:231.17万円(前年比マイナス1.6%、前月比マイナス6.3%)
- 成約件数:176件(前年比マイナス39.3%)
- 在庫件数:5,537件(前年比プラス64.8%)
在庫が前年の1.6倍に膨らみ、成約は4割近く減っています。価格帯が高く、投資目的の売買も多いエリアなので、金利上昇の影響を受けやすい構造です。
東京都全体
- 成約価格:6,728万円(前年比マイナス3.3%、前月比マイナス1.4%)
- 成約件数:1,699件。都心3区・城東・城南・城北・城西・多摩の6エリアすべてが前年比マイナス
板橋区・練馬区が含まれる城北・城西も前年を下回っていますが、都心3区ほど極端な動きではありません。実際に住む人が買うエリアは、投資色の強いエリアより値動きが緩やかになりやすいからです。基準地価でも板橋区は+8.6%と上昇を保っています。
板橋区内の中古マンションの価格水準は板橋区の中古マンション相場2026年版、区内で進む再開発の全体像は板橋区の再開発まとめでご覧いただけます。
つまり、ニュースで「都心のマンションが下がった」と聞いても、それがそのまま板橋・練馬に当てはまるわけではありません。エリアごとの数字を見る必要があります。
買う側から見た、いまの環境
購入を検討している立場から見ると、いまの環境には追い風と向かい風の両方があります。
追い風:選べる物件が増えている
在庫が7か月連続で増え、首都圏で5万件を超えました。半年前より、比較に時間をかけられます。1件目で決め切らずに複数を見比べられるのは、買う側にとって大きな利点です。売出価格のまま決まる物件が減っているということは、価格交渉の余地が生まれやすくなっているということでもあります。
向かい風:借入コストが上がっている
2026年10月のフラット35は3.830%で過去最高を更新しました。変動金利もメガバンクで1.3%台に上がっています。物件価格が下がっても、金利が上がれば毎月の返済額は相殺されてしまいます。
では、どう考えるか
「価格が下がるまで待つ」という判断は、金利がさらに上がれば結果的に損になることもあります。逆に「金利が上がる前に急ぐ」と、割高な物件をつかむリスクがあります。
変動金利とフラット35の金利差がいまどれくらいあるのかは、変動金利とフラット35の金利差の推移をまとめた記事で毎月更新しています。
どちらか一方に賭けるより、物件価格と金利を合わせた「毎月いくら払うことになるのか」で判断するほうが確実です。そのうえで、返済に無理のない範囲に収まる物件を、増えた在庫の中からじっくり選ぶ。これがいまの環境に合った進め方だと考えています。
売る側から見た、いまの環境
売却を考えている方にとっては、半年前と同じやり方では動きにくい局面です。
特徴的なのが、売出価格と成約価格の開きが大きいままだという点です。2026年8月に新たに売り出された物件の平均価格は6,751万円で前年同月比プラス21.5%。一方、実際の成約価格は5,129万円で同マイナス2.8%でした。売主の希望は上がり続け、成約価格は下がり続けている。この差が、成約件数の減少としてそのまま出ています。
つまり、売出価格を市場の水準に合わせないと、そもそも内見が入らない状況です。高めに出して様子を見る戦略は、在庫が増えている局面では時間だけが過ぎやすくなります。売り出してから時間が経った物件は、買主から「何か問題があるのでは」と見られやすくなる面もあります。
とはいえ、価格を下げれば売れるという単純な話でもありません。同じマンション内の他の住戸、周辺の競合物件、売却までに使える期間。これらによって適正な設定は変わります。
結エステートは板橋区・練馬区の中古マンション売買仲介を17年続けてきました。「いまこの物件はいくらで売れるのか」「売り急ぐべきか、時間をかけるべきか」といったご相談は、遠慮なくお寄せください。直近の成約事例をもとに、現実的な見通しをお伝えします。
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